田舎暮らしを体験しようと思ったきっかけ
私は長年都市部で暮らしてきました。電車やバスの本数が多く、コンビニも24時間営業。とても便利な生活ではありますが、どこか心が落ち着かない日々でした。
そんな折、地方移住を検討している友人から「まずはお試しで田舎に滞在してみない?」と誘われたのがきっかけで、15日間の田舎暮らし体験に参加しました。最初は半月も都会を離れることに不安がありましたが、結果的に人生の価値観を大きく変える経験となりました。
到着初日:都会とのギャップに驚く
私が滞在したのは北海道の長沼町近郊。新千歳空港から車で30分ほどの場所ですが、景色はまるで別世界でした。窓から見えるのは広大な畑と丘陵地帯。コンビニやスーパーは車で10分以上離れており、最初は「本当に生活できるのだろうか」と少し不安になりました。
宿泊先は地元の方が運営する「お試し移住用住宅」。ログハウス風の建物で、木の香りが心地よく、すぐに落ち着いた気持ちになりました。大家さんが「ここでは夜は星が本当に綺麗だよ」と言ってくれて、初日の夜に外に出て空を見上げると、都会では絶対に見られない満天の星が広がっていました。
田畑での農作業体験
滞在2日目からは、地元農家さんのお手伝いをさせてもらいました。最初に体験したのは畑の草取り。都会では見慣れない大きな鍬やスコップを使って、腰をかがめての作業は想像以上に体力を使いました。
農家の奥さんが「最初は筋肉痛になるけど、だんだん慣れてくるよ」と笑ってくれて、励まされながら作業を続けました。
数日後にはトウモロコシの収穫にも挑戦。葉をかき分けながら実を選び、ひげの色を見て収穫する作業はまるで宝探しのようで、思わず夢中になりました。その場でかじったトウモロコシの甘さは衝撃的で、スーパーで買っていたものとの違いに驚きました。
地域の人との交流
田舎暮らし体験の魅力は、何よりも人との出会いです。農作業の後に農家さんの家に招かれ、採れたて野菜をふんだんに使った料理をごちそうになりました。シンプルに茹でただけのジャガイモや、手作りの漬物、地元産のお米で炊いたご飯。
その一つ一つに作り手の思いがこもっていて、普段の外食とは違う温かさを感じました。
また、近所のお祭りにも参加しました。小さな神社の境内に地域の人が集まり、屋台で焼き鳥やおでんを食べながら会話を楽しむ姿はとてもアットホーム。見知らぬ私にも気さくに声をかけてくれて、「また来てね」と笑顔で言われたときは、本当にこの町の一員になれたような気持ちになりました。
自然との触れ合い
滞在中は自然の中で過ごす時間も多くありました。早朝に散歩をすると、朝露に濡れた草原の匂いが漂い、鳥のさえずりが聞こえます。都会では聞き流してしまう小さな音が、ここではとても鮮明に心に届きました。
特に印象に残っているのは、近くの丘をハイキングした日のことです。小高い場所から見渡すと、遠くの山々と広大な畑が織りなす風景が一面に広がり、言葉を失いました。
地元の人に「ここは夕日がきれいなんだよ」と教えてもらい、夕暮れ時に再び訪れると、真っ赤に染まる空と大地のコントラストが心に焼き付きました。
不便さと向き合う時間
もちろん田舎暮らしには不便さもあります。スーパーが遠い、公共交通機関が少ない、夜は街灯が少なくて真っ暗。最初の数日は不安で、都会の便利さが恋しくなりました。
しかし、時間が経つにつれて「必要以上の便利さは本当に必要なのか?」と考えるようになりました。コンビニが近くになくても、地元の直売所で野菜を買えば十分。むしろ新鮮で安い。夜が暗いからこそ、星空や月明かりを楽しむ時間ができる。都会では得られなかった豊かさに気づけたのです。
15日間を終えて感じたこと
15日間の体験を終えて、都会に戻ったとき、最初に感じたのは「音の多さ」でした。車のクラクション、人の話し声、電車のアナウンス…。田舎での静かな時間に慣れていたせいで、逆に都会の喧騒に違和感を覚えました。
田舎暮らしを通じて得た一番の学びは、「本当に必要なものは意外と少ない」ということです。自然、地域の人とのつながり、心から美味しいと思える食べ物。それが揃えば、心は満たされる。移住を即決するには至りませんでしたが、将来的には田舎で暮らす選択肢を真剣に考えたいと思うようになりました。
まとめ
田舎暮らしお試し15日間は、都会生活では気づけなかった多くのことを教えてくれる体験でした。不便さの中にある豊かさ、人との温かい交流、自然と向き合う時間。これらはお金では買えない価値です。
これから地方移住を検討している人にとっても、まずは短期滞在から始めてみるのがおすすめです。実際に体験してみることで、自分に合うかどうかが分かりますし、地域の人との縁も生まれます。私自身、この15日間で人生観が変わり、次の一歩に向けた大きなヒントを得ることができました。
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