東京から長沼町へ住み替えた家族の体験談

東京から北海道の長沼町へ移住するという決断は、私たち家族にとって大きな冒険でした。高層ビルや満員電車に囲まれた日々から、広大な畑と澄んだ空気に包まれた町へと住み替える。この体験は、単なる引っ越しではなく、人生の転換点となる出来事でした。

本記事では、私たちがどのようにして長沼町へ移住を決めたのか、実際に暮らしてみて感じた喜びや苦労、地域とのつながり方などを、東京生活との対比を交えながら詳しくお伝えします。


移住を決めたきっかけ

東京での暮らしは便利でしたが、どこか「余裕のなさ」を感じていました。夫は都心のオフィスまで片道1時間半の通勤、私は子どもの保育園の送り迎えや買い物に追われる日々。家族で過ごす時間は減り、休日も人混みの中で消耗してしまうことが多かったのです。

そんな時に旅行で訪れた北海道の広大な景色と、のんびりとした空気に心を奪われました。特に長沼町は札幌や新千歳空港に近いにも関わらず、農村の豊かさを感じられる点が魅力でした。「ここなら子どもを自然の中で育てられる」と思い、移住を検討し始めました。


住まい探しのリアル

最初の壁は住居探しでした。東京のようにネットに物件が豊富に載っているわけではなく、数件しか情報が出てきません。役場の空き家バンクに登録したり、不動産会社に直接足を運んだりして情報を集めました。

最終的に選んだのは、畑に囲まれた一軒家。築年数は古いものの、広い庭と日当たりの良さが決め手でした。子どもたちは庭で走り回り、家庭菜園も少しずつ始めています。東京では考えられなかった「土に触れる暮らし」が当たり前になりました。


東京との暮らしの違い

食生活の変化

東京にいた頃はスーパーやコンビニで済ませることが多かった食事も、長沼に来てからは地元の農産物を使った料理が中心に。近所の農家さんから分けてもらった新鮮な野菜は驚くほど美味しく、食卓が一気に豊かになりました。

通勤・仕事のスタイル

夫はリモートワークが中心となり、東京に比べて通勤時間のストレスがなくなりました。私はパートとして町内のカフェで働き始め、地域の人と交流できるように。仕事を通じて「東京では出会えなかった関係」が築けるのは、移住の大きな魅力です。

子育て環境

子どもにとっては、自然が遊び場そのもの。夏は川遊びや虫取り、冬は雪遊び。公園の混雑とは無縁で、のびのびと成長できる環境があります。学校や保育施設も、先生や地域の人との距離が近く、安心感があります。


移住後の課題と苦労

もちろん良いことばかりではありません。

  • 冬の寒さと雪かき:初めての冬は雪かきの大変さに驚きました。朝早くから家の前を除雪しないと車が出せないこともあり、都会育ちには体力的にきつい時期でした。

  • 車の必要性:公共交通が限られているため、車は必須。維持費や運転技術も必要で、最初は戸惑いました。

  • 人間関係の距離感:地域に溶け込むには時間がかかります。挨拶やお祭りへの参加を通じて徐々に馴染んでいきましたが、最初は「よそ者」という目で見られることもありました。


地域とのつながり方

移住生活を豊かにするには「地域とのつながり」が欠かせません。私たちは積極的に町内イベントやボランティア活動に参加しました。夏祭りでは屋台のお手伝いをし、冬の除雪ボランティアにも加わりました。

そうすることで、地域の人から声をかけてもらえるようになり、日常的に助け合える関係が築かれていきました。

また、子どもを通じて親同士の交流も広がりました。東京では顔見知り程度だった保護者同士の関係も、長沼では日常的に情報交換や助け合いが行われます。「地域全体で子どもを育てる」という実感を得られるのは、地方移住ならではの魅力だと感じます。


これからの暮らしと展望

長沼町での暮らしはまだ始まったばかりですが、都会では得られなかったゆとりと自然とのつながりを日々感じています。将来的には家庭菜園を拡大して半自給的な暮らしを目指したり、地域のイベントを企画する側に回りたいとも考えています。


まとめ

東京から長沼町への移住は、便利さを手放す代わりに、自然と人とのつながりを得る選択でした。

  • 住まい探しは大変だが、空き家バンクや地域のネットワークを活用できる

  • 東京との生活の違いは大きいが、食・子育て・働き方の豊かさは移住の醍醐味

  • 冬や車生活といった課題はあるが、地域との関係を築くことで乗り越えられる

家族にとって移住は挑戦でしたが、長沼町での暮らしは確実に私たちの人生を豊かにしています。「ちょうど良い田舎暮らし」を求めている人にとって、長沼町は大きな可能性を秘めた選択肢だと思います。

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