移住者目線で選ぶ賃貸・住居情報

地方移住を考える際、多くの人が最初に直面するのが「住まい探し」です。都会のように情報があふれているわけではなく、不動産サイトを見ても掲載数が少なかったり、写真が少なかったりと戸惑うことが多いのも事実です。

私自身、北海道の長沼町に移住する際に賃貸物件を探しましたが、都会とは勝手が違い、実際に足を運んで初めて分かることがたくさんありました。この記事では、移住者目線から見た賃貸・住居情報の探し方、実際に体験したエピソード、そして注意点をまとめていきます。


地方の賃貸市場の特徴

まず知っておきたいのは、地方の賃貸市場は都市部とは大きく異なる点が多いということです。

  • 物件数が少ない:大手不動産サイトに掲載されていないケースも多い。

  • 家賃は安いが築年数は古め:都会の半額以下の家賃でも借りられるが、築30年以上の物件が多い。

  • 人とのつながりが重要:不動産会社経由ではなく、地域の人や役場の情報で物件を知ることもある。

私が初めて物件を探したときも、ネットで見つけた情報は数件しかなく「選択肢が少なすぎる」と感じました。しかし実際に町を歩いてみると「入居者募集」の看板を掲げているアパートや、役場で紹介してもらえる空き家バンク制度など、ネットでは見えない選択肢があることに気づきました。


実際に見つけた賃貸物件と体験談

アパートタイプ

最初に内見したのは築25年ほどの木造アパート。2LDKで家賃は4万5千円。札幌ではワンルームでも6万円以上していたので、その安さに驚きました。内装はやや古さを感じましたが、管理が行き届いており、日当たりも良好。

実際に暮らしてみると、冬の暖房費がかかる点は予想以上でしたが、それでもトータルで見れば経済的に十分満足できました。

戸建て賃貸

もう一つ候補にしたのは戸建ての借家。家賃は6万円で広さは一軒家そのもの。家庭菜園ができる庭付きで、子どもがのびのび遊べる環境でした。友人は実際に戸建て賃貸を選び、週末は庭でBBQをしたり、冬は雪遊びを楽しんだりしています。

都市部の集合住宅では考えられない「家の外の楽しみ方」ができるのが魅力です。


移住者が直面する課題

移住して感じたのは、メリットだけでなく課題もあることです。

  • 車が必須:駅近や商業施設の近くの物件は限られており、ほとんどの場合は車がないと生活が難しい。

  • 冬の除雪:アパートなら管理会社がやってくれますが、一軒家では自分で雪かきをする必要があります。最初は大変でしたが、近所の方が手伝ってくれて、そこから地域のつながりも生まれました。

  • 都市部より流動性が低い:空きが出るのを待つこともあり、急ぎの引っ越しには不向き。


賃貸以外の選択肢 ― 空き家バンク活用

長沼町を含む地方自治体では「空き家バンク制度」があります。これは、空き家を持つ所有者と、借りたい・買いたい人をマッチングする仕組みです。

実際に私の知人は空き家バンクを利用して、古民家を月3万円で借りています。DIYで少しずつ改装しながら、地域交流イベントの会場にするなど、新しい使い方をしているのが印象的でした。賃貸アパートより不便な点はありますが、「自分の手で住まいを作る」という楽しさがあるのも魅力です。


不動産会社との関わり方

移住者にとって不動産会社は心強い味方ですが、都会とは違い「人柄」で決める部分も大きいと感じました。

私が相談した不動産会社の担当者は、物件案内だけでなく「この地域は雪が多いから、除雪を考えて選んだ方がいいですよ」など生活アドバイスもしてくれました。単なる取引ではなく「暮らしを一緒に考えてくれる」スタンスがありがたかったです。


体験者の声から学ぶポイント

  • 「最初はアパートから始めて、数年後に一軒家に移った方が気楽」(30代夫婦)

  • 「子どもが小さいうちは賃貸アパートで十分。学校や保育園の場所を見極めてから持ち家を考えたい」(40代母親)

  • 「空き家バンクで安く借りて、自分でリフォーム。大変だけど愛着がわく」(50代男性)

こうした体験談を聞くと、「最初から理想の家を探そうとせず、段階を踏んで住まいを選ぶ」のが移住者にとって賢い方法だと感じます。


まとめ

移住者目線で見た賃貸・住居探しは、都市部の常識がそのまま通用しないことを痛感します。

  • ネットより現地の情報網が重要

  • 家賃は安いが築年数や設備に注意

  • 除雪や車生活など地方特有の課題あり

  • 空き家バンクや人のつながりを活用すると選択肢が広がる

私自身、最初は不安でいっぱいでしたが、実際に住んでみると「想像以上に地域の人が助けてくれる」という安心感を得られました。住まい探しは移住生活の第一歩。焦らず、地域に溶け込むように探していくことが、移住を成功させる秘訣だと思います。

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