北海道の中でも札幌からのアクセスが良く、自然と都市機能のバランスが取れている町として注目されているのが長沼町です。「ちょうど良い田舎暮らし」という言葉がぴったり当てはまる場所であり、実際に移住者の声を聞くとその理由がよく分かります。
この記事では、私自身の体験や移住者から伺ったリアルなエピソードを交えながら、長沼町移住の魅力と課題を整理してみます。
移住を決めたきっかけ
私が長沼町に移住を考えた大きな理由は「自然と都市のバランス」でした。札幌や新千歳空港へ車で30〜40分程度とアクセスが良く、都会に出る必要があるときはすぐ行ける。それでいて町に戻れば、田畑が広がり、四季の変化を感じながら生活ができる。
まさに「どっちも欲しい」という欲張りな暮らしを可能にしてくれる場所でした。実際に下見で訪れたとき、道端で農家さんが採れたてのトマトを直売していて、その場で買ったものをかじった瞬間に「ここに住みたい」と強く思ったことを今でも覚えています。
長沼町の魅力① 豊かな自然と四季の楽しみ
長沼町は農業の町として有名で、どこまでも広がる畑と空の広さに圧倒されます。春は菜の花畑、夏は緑の田んぼ、秋は黄金色の小麦畑、冬は一面の雪景色――自然の移ろいを身近に感じながら暮らせるのは大きな魅力です。
私が特に感動したのは秋の収穫シーズンです。ご近所から「余ったから食べて」とカボチャやジャガイモをいただくことがありました。都会ではありえない「おすそ分け文化」が当たり前に根付いていて、人と人との距離の近さを感じました。
長沼町の魅力② 食の豊かさと地産地消
移住者の多くが口を揃えて言うのが「食の豊かさ」です。直売所では新鮮な野菜が安く手に入り、レストランやカフェでも地元食材を使った料理を味わえます。
私自身の体験として、初めて「長沼赤字丼」を食べたときの衝撃は忘れられません。ボリューム満点でリーズナブル、さらに新鮮な肉や野菜の美味しさが詰まっていて、「これが地元の名物か」と感動しました。
また、週末には家族でジンギスカンを楽しむのも恒例になり、食を通じて「長沼暮らしの豊かさ」を実感しています。
長沼町の魅力③ コミュニティの温かさ
都会から移住すると気になるのが「地域コミュニティとの関わり方」です。長沼町では移住者を温かく迎え入れてくれる空気があります。
実際に私が引っ越してきた直後、隣の農家さんが「冬は雪が大変だから早めに除雪道具を揃えたほうがいいよ」とアドバイスをくれました。さらに地域の行事に参加するうちに自然と知り合いが増え、「野菜を分けてもらった」「子どもの遊び場を教えてもらった」といった助け合いが日常にあります。
都会では味わえなかった「顔が見える安心感」がここにはあります。
課題① 冬の暮らしと雪対策
一方で課題もあります。最大のハードルはやはり「冬の暮らし」です。雪が多く、除雪は毎日の仕事になります。
私が初めての冬を迎えたとき、朝起きたら車がすっぽり雪に埋まっていたことがありました。慣れないうちは30分以上も雪かきに時間を取られ、仕事に遅れそうになったこともあります。
ただ、近所の方が「雪かきのコツ」を教えてくれたことで徐々に慣れ、今では冬の運動不足解消と割り切れるようになりました。
課題② 交通手段と移動の不便さ
長沼町は公共交通の便が良いとは言えません。バスは本数が限られており、車がないと生活が難しいのが現実です。
移住直後、車を持っていなかった私は買い物や通院で苦労しました。結局、中古車を購入してからは生活が一気に楽になりましたが、車を維持するための費用や冬のタイヤ交換など、都会にはなかった負担も増えました。
移住を考えている方は「車が生活必需品」であることを前提にしたほうがよいでしょう。
課題③ 仕事や教育の選択肢
移住前に不安だったのが「仕事」と「教育」です。仕事は札幌に通える距離とはいえ、毎日の通勤は時間と体力を消耗します。私はリモートワークができる環境だったため問題ありませんでしたが、毎日札幌に通う友人は「冬道の運転は特に大変」と話していました。
また教育面では、子どもの進学を見据えると「高校は札幌に」という家庭も多いです。そのため、中学卒業後は通学や下宿を選ぶケースもあり、親としてのサポートが欠かせません。
「ちょうど良い田舎暮らし」とは?
長沼町の移住生活は「完全な田舎」でもなく「都会」でもない、その中間に位置しています。都会の便利さをある程度享受しながら、自然や人とのつながりを大切にした暮らしができる――これが「ちょうど良い田舎暮らし」と呼ばれる所以です。
移住して分かったのは、「田舎に住む=不便」という一面的な見方ではなく、自分に合った暮らしのリズムを見つけることが大切だということ。長沼町はその「中間地点」を提供してくれる場所だと感じています。
まとめ
長沼町への移住は、自然豊かな環境、食の恵み、地域の温かさといった多くの魅力があります。その一方で、冬の雪対策や交通手段の確保、教育や仕事の選択肢といった課題も存在します。
それでも私は、長沼町での暮らしを「ちょうど良い田舎暮らし」として誇りに思っています。移住を検討している方には、ぜひ一度足を運び、季節ごとの長沼町を体感していただきたいです。きっとその「心地よさ」に共感できるはずです。
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